田中幸雄の行った供養が話題となり、彼の住む街では、それ以来、超自然現象への関心が高まっていた。供養によって高架下の子供たちの霊が成仏し、地域社会には穏やかな日々が戻ってきた。しかし、この出来事が街の伝説として広まるにつれ、新たな興味を持つ者たちが現れ始めた。
ある日、地元の学生たちが霧の中の影をテーマにした小さなドキュメンタリーを撮影し始める。彼らは田中幸雄をインタビューし、その証言と供養された高架下の映像を組み合わせた作品を作成した。ドキュメンタリーは急速に人気を博し、インターネット上で話題になる。
しかし、このドキュメンタリーが未解決の謎や都市伝説への好奇心を再燃させる結果となった。新たに高架下を訪れる者たちの間で、またしても奇妙な現象が報告され始める。今度は、高架下の近くにある廃墟である建物から、不可解な音や光が目撃されたのだ。
田中幸雄は、再びその場所へ行き、今度は別の忘れ去られた歴史を掘り起こすことになる。廃墟の探索中、彼は古い日記を発見する。その日記には、戦時中にその建物を避難所として使用していた家族の記録が残されており、その中には霊として高架下に現れた子供たちの話と何かをつなぐ手がかりがあるかもしれないと思った。
幸雄と学生たちは、歴史の研究を進め、廃墟の建物がかつて大きな悲劇を経験した場所であることを明らかにする。彼らの調査が進むにつれて、霧の中の影の謎がより深まり、新たな霊の物語が街の記憶から蘇り始めるのだった。
この新たな発見により、田中幸雄は自分の役割を再評価し、霊と人との間の架け橋としての道を歩み始める。彼は、これまで見過ごされがちだった街の歴史とその中に息づく物語を、より多くの人々に伝える役割を担うことになるのである。