“Resonance of Ruins: Afterquake Amore”  第6章

小説

第6章:暗闇の中で

道は続く。私たちは影を避け、月明かりの下、廃墟と化したスカイラインに沿って進んだ。時折、遠くで犬が吠える声や、金属がぶつかり合うような音が耳に入ってくる。それは、まだ他の生存者たちが近くにいることを意味していた。美咲はその都度、ぴったりと私に寄り添った。恐怖は共有されることで、少しは和らぐものだ。

避難所を目指すことに決めたが、それは容易な旅ではない。GPSは機能しておらず、かつての地図は今やあてにならない。しかし、私たちにはそれを補うものがあった。記憶と直感だ。

「あのビル、覚えてる?」美咲が指さす。その先には、半分崩壊したビルがそびえ立ち、その壁面はモザイクのように色と形を失っていた。

「ああ、あそこに隠れてた時、あの屋上から星を数えたんだ。」記憶は確かだった。そこはかつて私たちが互いを信頼し始めた場所だ。

「もしかしたら、屋上から街を見渡せば、行くべき道が見えるかもしれないね。」

そこで私たちは危険を承知で高所を目指す決断をした。ビルに入るには、壁をよじ登るしかなかった。手がかりは少ないが、足を踏み外せば命がけの賭けになる。美咲は登り始める前に深呼吸を一つした。

「気をつけて。」

「大丈夫、いつものことさ。」私たちは互いに励ましあいながら、ゆっくりと壁を登り始めた。

屋上からの眺めは、言葉を失うほどのものだった。月光が破壊された街にさまざまな影を作り出し、静寂が全てを覆っていた。私たちの前に広がるのは、末世の情景か、それとも新しい始まりの地図か。

美咲が手を伸ばして私の方を指し示した。「あそこに光が。」

確かに、闇の中でぽつりと一点の光があった。それは他の何よりも希望の光に見えた。あるいは、誰かが送るSOSかもしれない。

「行こう。」私たちは屋上からその光へと向かう最善のルートを探した。そして、忍び足で、遮蔽物を利用しながら、その光がある方向へ進むことにした。

美咲はしっかりと私の手を握りながら、「何があっても、二人で乗り越えられるわ。」と力強く言った。彼女の言葉に、私の心は勇気で満たされた。なぜなら私たちはただの生存者ではなく、互いを信じ合う仲間だからだ。

廃墟の都市の中で、光を目指す旅は続く。しかし、それが導く結末は未だに見えないままだ。それでも私たちは進む。希望の光を求めて、暗闇の中を。

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