寂れたアパートの一室に住む独り暮らしの青年、大輔には、夜な夜な不可解なことが起きていた。深夜、彼の携帯電話に見知らぬ番号から着信があるのだが、通話を取ると向こうからは一切の音がしない。最初のうちは、悪質ないたずらだと思っていた大輔だったが、この着信が彼の日常を侵食し始める。
ある夜、特に疲れていた大輔はまたしてもその番号からの着信を受けた。いつものように無音の中に耳を澄ますと、微かに呼吸のような音が聞こえてくる。息を飲む青年の耳に、その呼吸は徐々に明瞭になっていった。そして、その晩、彼ははっきりとささやき声を聞いたのだ。「助けて…」
次の日、大輔はその番号の持ち主を探り始める。番号は近隣の古い一軒家に登録されていたが、そこにはもう長年人が住んでいないと地元では有名だった。それでも、何かを解決しなければ夜も眠れないと感じた彼は、その家を訪ねる決心をした。
家は草木に覆われ、窓は板で封じられ、まるで入る者を拒むかのような威圧感を放っていた。大輔は勇気を出して家の中に踏み込む。家の中は埃っぽく、空気は止まっているようだった。そして、彼は居間に古い固定電話を見つける。驚いたことに、その電話からもまた、彼の携帯にかけたのと同じ番号が表示されていた。
固定電話のハンドルを取り、耳に当てると、そこからも「助けて…」という声が聞こえてきた。この家のどこかに誰かが隠れているのか?それとも…?
大輔の後ろにあったクローゼットがゆっくりと開き、中からは…(ここで物語は読者の想像に委ねられます)